新Jay's時事英語研究

実際の翻訳案件ではよく見かけるものの、一般の辞書や規範文法書ではなかなか理解できない用法などを集めて解説します。 加えて、辞書では見出語だけで例文がないものも集めて用例解説します。

以上、以下_1

本日からは「以上」「以下」を取り上げます。これはよく「基準点」を含むか否かが問題になるので、この点を考えてみましょう。本日は「以下」を取り上げます。

1. 「数量」を対象にする場合、通常基準点を含む:
・室温を一八度以下に保つ (大辞泉)
・六歳以下は無料 (大辞泉)
【研究】「数量」の場合、基準点を含むのが一般的です。

2. 「程度」や「優劣」の場合、基準点を含むかは文脈依存:
a. 「基準点」を含むパターン
・校長以下教職員一同 (大辞泉)
以下同様
b. 「基準点」を含まないパターン
以下省略 (大辞泉)
・あいつの理解力は小学生以下だ。(大辞泉)
【研究】上記の場合「小学生未満」とは言いません。

3. Google での用例検索
a. 「以下」と「未満」での比較
・平均点以下:667,000件
・平均点未満:255,000件
【研究】「平均点以下」という文では通例基準点である「平均点」を含みません。ここでは2.6倍強の差が出ています。
b. 「以下は」と「未満は」での比較
・平均点以下:145,000件
・平均点未満:3件
【研究】49,000倍近い差が出ている事実は非常に興味深いといえます。

次回は「以上」の用例を検討します。