新Jay's時事英語研究

実際の翻訳案件ではよく見かけるものの、一般の辞書や規範文法書ではなかなか理解できない用法などを集めて解説します。 加えて、辞書では見出語だけで例文がないものも集めて用例解説します。

副詞の enough#4

前回に引き続き「形容詞 + enough + 名詞」の構文です。

(3) enough を形容詞と分離して使用する用法は、「米国用法」あるいは「追加陳述的な使用」として一部認めている言語学者 (Bolinger など) もいますが、実際にはかなり容認度が低くなります。Google での用例検索の結果は以下の通りです。
・a decent enough man: 70,900 件
・a decent man enough: 4 件
→よってこの表現は一般に避けるべきと判断します。ネイティブから上がってきた英訳原稿をチェックする際には、他の語との連動を考え、用例検索をしっかりかけた上で「許容」とするか判断してください。

(4) 数量詞 few, little からの修飾が可能です。その場合、以下の特徴を持ちます。
・I have little enough time left. (十分な時間がほとんどない。/【意訳】時間がほんのわずかしかない。)
→形容詞自体に数量形容詞が入るパターン
・There are few enough good restaurants these days. (最近良いレストランが少なすぎる。)
→この enough は few への否定のニュアンスを強める役割がある点に注意してください。よって通常の語順と異なります。

(5)【関連】名詞を伴わない例ですが、成句的に good enough, fair enough, true enough, sure enough なども可能です。

形容詞を伴う enough の用法だけでも検証するとこれだけ多くのことが得られます。是非、今後の英訳にご活用ください。