新Jay's時事英語研究

実際の翻訳案件ではよく見かけるものの、一般の辞書や規範文法書ではなかなか理解できない用法などを集めて解説します。 加えて、辞書では見出語だけで例文がないものも集めて用例解説します。

more than...は「〜以上」か?

本日は more than の用法です。これは原義どおり考えれば over の意味ですから「〜を超えて」の意味になり、対象となる語は含みません。しかし、実際の英語ではこの点を杓子定規に考えられないところがあります。本日はこの点を考察しましょう。

(1) OneLook での定義は下記の通りです。

greater in number relative to something else (対象物に対し数の点で上回っている)
e.g. More than one person stood up. (複数の人が立ち上がった。)

(2) 語法大事典では下記のように解説しています。
日本語の「A 以上」は more than とは異なり厳密には A を含むが、A を含むか含まないかが文意に大きな影響を与えない限り、「A 以上」の意で more than を用いても差し支えない。(「more than five books は「5 冊以上の本」か「6 冊以上の本」か」pp356-57)

(3) 実際の英語では下記のような例も出てきます。これが非常に厄介な点です。
Frequency
An asterisk matches more than zero (including zero)
A question mark matches more than once (including once)
→通常、正規表現で * は「0 回以上ヒット」を、+ は「1 回以上ヒット」を表します。上記の説明で ( ) 内でわざわざ説明を加えているのはこの書き手が more than を「〜以上」で解釈しているためです。このように実際の英語ではさまざまな混乱が生じています。よく文脈を考えて解釈するようにしましょう。