新Jay's時事英語研究

実際の翻訳案件ではよく見かけるものの、一般の辞書や規範文法書ではなかなか理解できない用法などを集めて解説します。 加えて、辞書では見出語だけで例文がないものも集めて用例解説します。

many / much と most の違い

本日は、番外編として many / much と most との違いを扱います。

most を「多くの」で訳されているものをたまに見かけますが、most の原義は「ほとんど」であり、「多くの」ではありません。そもそも many / much ([名] 多くor [形] 多くの) の最上級が most ([名] ほとんど [形] ほとんどの) なわけですから、同じ訳が当てられないのは明らかです。

日本語から見た違いを考えていきましょう。下記は大辞林の説明です。

多く: たくさん
ほとんど: すべてといっていいくらいであるさま。

これを見て分かるように、日本語でも意味の違いは明らかです。文脈によっては most を「ほとんど」と訳すと稚拙になることがあるので注意が必要ですが、少なくとも「多くの」は避けるほうが無難です。翻訳の際、個人の感覚に頼りすぎるのは危険です。英語の辞書のみならず国語辞典も積極的に引くようにしましょう。