本日は no more A than B の用法です。この表現の基本は「B と同じ数 [量] の A しかない」ですが、ここから意味は発展していきます。本日は基本的な使い方を見ていきましょう。
(1) これは more A than B (B よりも A だ) を no (まったく〜ない) で否定しています。つまり、B と比べた時の A の差異を完全否定することで「同等」であることを強調しています。これにも感情的なニュアンスが加わりやすいので、「〜しかない」などの表現を加える方が良いでしょう。
・You know that in my position I cannot take you to places where they dance and I daresay when he's as old as I am he'll have no more hair than I have. (私の立場では君を彼らがダンスする場所に連れて行けないのは分かるだろう。あえて言わせてもらえば、彼だって私と同じくらいの年になれば同じように髪は薄くなるんだよ。) (Collected short stories, W. Somerset Maugham)
(2) no more A than B は、not any more A than B とほぼ同義になります。言うまでもなく、これは no = not any から導かれたものですが、後者の意味は強意的になります。
・Common sense tells us that a woman with several husbands will not have any more children than a women with only one husband. On the other hand, a man with several wives will have more children than a man with only one wife. (常識的に考えると、複数の夫をかかえる 1 人の女性が産む子供の数は、1 人しか夫がいない女性とまったく同じだが、複数の妻をめとる 1 人の男性がかかえる子供の数は、1 人しか妻がいない男性よりも多くなる。) http://www.lightplanet.com/mormons/daily/history/plural_marriage/menvswomen.htm
次回は、これから発展したいわゆる「鯨構文」A whale is no more a fish than a horse is. について説明します。