新Jay's時事英語研究

実際の翻訳案件ではよく見かけるものの、一般の辞書や規範文法書ではなかなか理解できない用法などを集めて解説します。 加えて、辞書では見出語だけで例文がないものも集めて用例解説します。

(s) が付加された複数形の処理

日本語では単複を意識しないことが多いので、parameter(s) のような表現は非常に困るものです。これはやや長くなりますが「1 つあるいは複数の」と処理します。(ちなみにこの日本語を Google で検索すると、166,000 件ヒットします。) しかし、このような表現が複数回繰り返される場合、すべて上記のように訳すかどうかは案件内容を良く見た上で判断するしかありません。下記に例を挙げてみましょう。

Data type(s) of the type parameter(s) in method '' cannot be inferred from these arguments because they do not convert to the same type. Specifying the data type(s) explicitly might correct this error.
試訳「メソッド '' 内にタイプ パラメータのデータ タイプが 1 つあるいは複数個存在するかは〜から推論することはできない...」

ここでは主語である Data type(s) of the type parameter(s) in method '' をいったん節のように訳しています。また、「1つあるいは複数の〜」は内容から判断して一回の使用に抑えています。産業翻訳の基本は「何も足さない、何も引かない」ですから、訳者が勝手に原文情報を「足したり引いたり」することはできません。しかし日本語として不自然になる場合は上記のようにうまく「まとめる」必要があります。商品性を上げるために、細かな部分に注意しながら訳すようにしましょう。