翻訳では当然のように使用されている「可能」(「可能性」や「推量」ではない) の may について考えてみます。実はこの may、意外に曲者で文脈上どちらとも判断できる場合があります。また、一般の辞書ではこの「可能」という訳はほとんどサポートしていないため、さらに厄介なことになっています。下記にジーニアスのコメントを挙げてみましょう。
・能力: (古)…できる ◆may の本来の意味. 今は can を用いる
・法律: …できる, …ねばならない(shall, must).
ここで「今は can を用いる」とありますが、実際の翻訳案件 (特に専門性が高い文書) では can が生む「軽さ」もあり、may もよく使用されます。事実、特許で may が出てくると「可能性」や「推量」よりも「可能」で訳すことが多くなります。
ビジネス一般文書で may は、まず「可能性」や「推量」で解釈し、それで不具合が生じるようであれば「可能」と考えると良いでしょう。特許など極めて専門性が高く硬めの文章の場合、まず「可能」で考え、その後「可能性」や「推量」で解釈すると良いでしょう。
いずれにせよ、文脈依存であることに変わりはありません。よく前後の内容を読んで判断するようにしてください。