新Jay's時事英語研究

実際の翻訳案件ではよく見かけるものの、一般の辞書や規範文法書ではなかなか理解できない用法などを集めて解説します。 加えて、辞書では見出語だけで例文がないものも集めて用例解説します。

get の用法#9

本日も受動態の構成要素の get を扱います。以前触れたように get + 過去分詞は「起動相」ですが、これに加え、しばしば主語あるいは伝達主のメリットあるいはデメリットも含意されます。本日はこの点について検証しましょう。

・After I got shot nine times at close range and didn't die, I started to think that I must have a purpose in life... (至近距離から 9 発撃たれても私は死ななかった。その後きっと生きて何かをすべきなんだと思うようになった…。)50 Cent - Wikipedia
【研究】1. 「起動相」の意味と、銃で撃たれるという主語に対するデメリットが含意されています。2. 上記の英文で got を was に変えると「状態」の意味になり、主語に対するデメリットのニュアンスが get よりも薄れます。

・Two days after the soldiers were killed, a police officer was killed in a shooting southwest of Belfast. (先の兵士達が殺されてから 2 日後、ベルファスト南西での発砲で警官が一人殺されました。)Rioting follows arrests in N. Ireland soldier killings - CNN.com
【研究】1. 上記のように「客観的な」情報の伝達では、be 動詞の方が好まれます。2. この文脈で get を使用すると伝達主の感情が移入されます。

・But the book got read, used, and quoted by many people of both genders. (しかし、その本は多くの男女から、読まれ、利用され、引用されました。) (Changing Organizational Structures: An Interview with Rosabeth Moss Kanter, Sheila M. Puffer)
【研究】1. 「主語がとくに変化や影響を被らない場合、get による受け身は不自然」と基本動詞辞典では、Palmer の引用を挙げて解説しています。(×The lesson got read by the choirboy.) 2. しかし、主語が物でも、上記のように何らかのメリットを受ける場合、get の用法は可能になります。

次回は「理解する」を表す get を扱います。